幾千の種子の眠りを覚まされて発芽していく我の肉体
逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月
知られてはならぬ恋愛なれどまた少し知られてみたい恋愛
携帯電話にしかかけられぬ恋をしてせめてルールは決めないでおく
贈られしシャネルの石鹸泡だてて抱かれるための体を磨く
さかさまのあなたを愛す夜の淵に二人メビウスの輪となれるまで
生えぎわを爪弾きおれば君という楽器に満ちてくる力あり
水蜜桃の汁吸うごとく愛されて前世も我は女と思う
一枚のタオルケットを分けあえばつぼみの中の雌しべになった
(俵万智「チョコレート革命」より)