
トホホホホとはわれの口癖 情なや惚れていしゆえ別れてしまえり (晋樹隆彦)
君の眼に見られいるとき私はこまかき水の粒子に還る (安藤美保)
せつなさと淋しさの違い問う君に口づけをせり これはせつなさ (田中章義)
春芽ふく樹林の枝々くぐりゆきわれは愛する言ひ訳をせず (中城ふみ子)
吾が髪の白きに恥ずるいとまなし溺るるばかり愛しきものを (川田 順)
暖かき春の河原の石しきて背中あはせに君と語りぬ (馬場あき子)
形なきものを分け合ひ二人ゐるこの沈黙を育てゆくべし (小島ゆかり)
人間のいのちの奥のはずかしさ滲み来るかもよ君に對へば (新井 恍)
あやまてる愛などありや冬の夜に白く濁れるオリーブの油 (黒田淑子)